日本の合計特殊出生率は2013年に1.43に回復したものの、出生数は約103万人で過去最少となった。晩婚・晩産化傾向に加え、若い世代が就職や進学で東京に集まるのも要因だ。東京の出産の難しい住環境のため出生率は極めて低く、人口減少を加速させる。人口ピラミッドに占める高齢者の比重が大きいと社会保障制度もやがて破綻する。現状の試算では2100年の人口は5千万人を割り込むが、25年に出生率1.8,35年に2.1を実現できれば1億人で安定させられる。地方への新しい人の流れをつくるには、企業の努力を得て、東京に置かなくてもいい機能を移したり、定年退職者らのUIターンも取り込みたい。人が住めばサービス産業が立地し、働く場ができる。市町村によって優先すべき対策が出生率なのか、社会減なのか異なる。住民基本台帳を分析すれば課題が分かり、市町村ごとの処方箋づくりに役立つ。国は市町村が使いやすい交付金を設けたり、子を持つ家庭への税制優遇も検討すべきだ。財源捻出は高齢者対策を効率化し、子育て支援に回すしかない。